毎日使う食器の水切りや収納効率のわずらわしさを解消した「軽スタ 樹脂食器」
- 2025.03.07
- 商品・サービス
「軽スタ 樹脂食器」は、普段使いの食器に対して日頃感じているわずらわしさを解消した商品です。使い捨てペットボトルから再生したPET樹脂製ながらも、食卓に取り入れやすいよう、使いやすさはもちろんのこと、陶磁器のような質感や色の表現を実現しました。
グッドデザイン賞(2021年)、Red Dot Award(2022年)、iF DESIGN AWARD(2022年 プロダクト部門「Household/ tableware」カテゴリ金賞)と国内外のデザイン賞を受賞した「軽スタ 樹脂食器」の商品開発の様子をご紹介します。
「毎日使いたくなる食器」を目指して

乾きにくい、重ねるとかさばって収納しづらい……。食器を洗うときや片付けるときの小さなイライラ……、食器の扱いについて日頃わずらわしさを感じている方は多いのではないでしょうか。家族が多い、洗う食器の枚数が多いとなおさらです。
毎日の些細なことだと「そんなもの」とあきらめたり、わずらわしさに自分を慣れさせたりしまいがち。でも、カインズではそんな小さなことに目をむけ、小さなことでも解消する、毎日の食卓を楽しく豊かにする食器を考えました。
「毎日使いたくなる食器」を叶えるため注目したのが、乾きやすさと収納効率です。
○乾きやすさ
低く設計した高台(こうだい)や独自のシボ加工(粗面加工)により食器の水残りを軽減し、乾きやすくしました。

○収納効率
食器棚の限られたスペースでも家族分の食器を収納できるよう、積み重ねてすっきり収納できることに加えて、食器としての美しさを追求しました。椀や丼のような深い器だけでなく、平たい皿でも重ねてすっきりと収納できます。

○軽い
軽量で丈夫なことも収納効率には大事なポイントです。再生PET樹脂を原材料として使うことで、軽量で陶磁器に比べて割れにくい仕様にしました。

食器の美しさを樹脂で実現
「軽スタ 樹脂食器」は、乾きやすさや収納効率という機能性だけでなく、質感や色にこだわり陶磁器のような風合いを追求しています。シンプルなデザインで使いやすい、自然と毎日使いたくなるデザインを追求しました。
曲面の角度が同一で積み重ねてきれいに収納できる形状は、この商品の美しさを最も表しています。手に持ったときのカーブが心地よい。椀や丼を重ねても大きいサイズにすっぽりと収まる。磁器食器(「軽スタ 軽量磁器食器」)シリーズでもこの形状で開発しているので、樹脂食器と磁器食器が混在しても積み重ねてきれいに収納できます。
口当たりも大事です。特に丼や椀は食器に口をつけて食べることもあります。縁の部分にカーブを施していますが、このカーブによっては使いにくさを感じてしまうことも。研究に研究を重ね、口当たりのよいカーブを「軽スタ 樹脂食器」に施しました。

手になじむシボ加工は滑りにくさと食器らしい質感を演出しています。樹脂食器は表面がツルツルしているものが多いですが、シボを施すことで汚れにくさと高級感を演出しています。実はシボの大きさは重要で、手触りだったり高級感だったりが変わってきます。小さすぎても大きすぎてもだめで、そのバランスを取るのが難しく試行を重ねました。

「軽スタ 樹脂食器」は、どんな食事や食卓でも使える白色にしました。この白色は塗料を加えず素材の色そのもの。実は、リサイクル樹脂だけで白色を表現するのはとても手間がかかる作り方です。
原料であるペットボトルは、回収場所によっての汚れ度合いが異なります。家庭から回収されるペットボトルは洗ってから回収されることが多いので、汚れが少ない傾向にあります。一方、屋外や不特定多数の人が使うゴミ箱で回収されるペットボトルは、洗ってからゴミ箱に入れることが難しいため、飲料がわずかに残っていたり飲料の跡が残っていたりします。汚れ度合いが異なるペットボトルを選別・精製し品質の高い原料にするには、高度な技術が必要です。
シンプルで真っ白な「軽スタ 樹脂食器」。樹脂にありがちな点や筋が見当たりません。樹脂を食器にする場合、完成品に黒い点や筋がでてしまうことがあるため、素材に色をいれたり塗装したりしてそれらを隠すことがあります。しかし、「軽スタ 樹脂食器」は原材料の色を白にして、それ以外の色や塗装は加えていません。高度な精製技術により原材料をつくり素材の白色をつくりあげているのです。

機能やデザインは、ふだん使う食器の使い方や不満、試作品への評価など、社内メンバーの声も集めて落とし込み表現しています。
再生PET樹脂を食器に
商品開発が始まった2020年当時、再生PET樹脂原料の利用先は繊維が多く食器への利用は約2%でした。市場では加工技術も製造技術も模索が続くなか、カインズはPET樹脂原料を食器に活用することに挑戦し、しかも毎日の食卓がより豊かになるよう「美しい食器」に仕上げることを目指しました。
再生PET樹脂を製品化するには、リサイクル原料の精製から配合、生成、製品成型時の温度・湿度調整など各工程で熟練技術が必要です。そのため、家庭ごみのPET回収・洗浄・再生原材料の精製・製品成型までを行うチームを協力会社と組成しました。

製品成型では東大阪市の金型調整企業の職人と協力し、持ちやすく洗い流し後の水残りも軽減する絶妙なシボ加工を食器の側面に施しました。
乳幼児がいるご家庭は、お子さま用に割れにくく小さな食器を使います。食べ盛りの中学生や高校生がいるご家庭は、大きな丼が並んでいるでしょう。ひとり暮らしでは自分好みの食器を集めたり、高齢になると軽くて持ち運びしやすいものにしたり。料理に合わせて盛り付ける器を変えてみることもあれば、ときには買ってきたお惣菜をそのまま並べてみたり。
家族の人数やライフステージ、時代の変化に合わせて食卓も変わっていきます。いつでもどこでも、「軽スタ 樹脂食器」がみなさまの食卓を楽しく豊かになる存在でありたいと願っています。
グッドデザイン賞2021 審査員のコメント
「軽スタ 樹脂食器」はグッドデザイン賞2021を受賞しました。審査員のコメントをご紹介します。
樹脂製ではあるが、質感や肉感ともにバランスよく仕上げられている。スタッキング性能や水が溜まりにくい高台への工夫などがありつつも、奇を衒わない清潔で素直なフォルムに好感度が集まった。深物へのシボ加工は一般的にその加工が均質になりにくく、難しい。微細なシボにすればするほど、キズ等の問題が発生するものである。PETという素材から経年変化は仕方のないところではあるが、好感の持てる質感である。原料素材の調達からリサイクル、再製品化の流れまでを自社で丁寧に行いながら、細かな調整を製品へ反映させる取り組みへも高い評価が集まった。
■商品情報
軽スタ 樹脂食器
軽スタ 軽量磁器食器
■参考情報
「軽スタ 樹脂食器」が「Red Dot Award」受賞 ~カインズオリジナル商品 2016年の初受賞から通算6度目の受賞~
4つのカインズオリジナル商品が 「iF DESIGN AWARD 2022」プロダクト部門で受賞 ~プロダクト部門で初の金賞受賞、部門受賞は6年連続~
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