ホームセンターの枠をこえて 食品で寄り添う、くらしの変化
- 2026.06.30
- 商品・サービス
ホームセンターでお米やお菓子、飲み物を買う。
今では当たり前の光景ですが、カインズが食品の製造・販売に力を入れ始めたのは20年以上前のことです。そこには「くらし全体を支えたい」という想いがありました。食品開発に携わった3人の担当者の言葉から、その歩みをたどります。
まとめ買いのくらしを支えた、お米とお酒

現在カインズでは、お米やカップ麺、ビスケットやチョコ菓子などの菓子類に加え、水や緑茶、ビールや焼酎など、多くの食品や酒・飲料を製造・販売しています。
食品・飲料の商品開発に取り組み始めた2000年頃、扱っていた主なカテゴリーは、お米やお茶、コーヒーなどの飲料です。食品を買うお店といえばスーパーマーケットというお客様が圧倒的に多かった時代でしたが、そうしたなかで注目したのが、毎日の食卓に欠かせない主食であるお米です。
当時、商品開発を担当していた大森さんは振り返ります。
「もともとお米は販売していたのですが、カインズのブランドとして販売したのが『伊達の蔵出し』という、宮城の精米工場で精米したお米でした。でも、当時のお客様からすれば『食品をもともと扱っていないホームセンターが売っているお米っておいしいのかな?』と半信半疑だったと思うんですね。そのためお米の味覚にはこだわりました。ちゃんと良いお米、おいしいお米を選び、なるべく安くして安定した量で販売できる体制を作っていきました」
当時、週末に家族で大型店を訪れ、生活に必要なものをまとめて購入するスタイルが広く見られました。お米やお酒は定期的に購入する商品であり、カインズでも日用品とあわせて購入するお客様が見られるようになっていきました。
週末になると、ご家族でカインズを訪れ、大きなカートに洗剤類やトイレットペーパーなどに加え、お米やお酒を積み込む。そんな光景が各地の店舗で広がっていきます。
「育ち盛りのお子さんが2~3人いらっしゃるご家庭では、10kgのお米がだいたい2週間くらいでなくなるんですよね。当時は今よりも米が主食のご家庭が多かったですね」

「私は当時、お酒も担当していました。ビールや発泡酒などはケース買いをしてもだいたい2週間ほどで家のストックがなくなります。そのため、お米とお酒を一緒に買いにいらっしゃるスタイルができてきたんです。
旦那さんと奥さんが車でカインズに来て、大きいカートでお米とお酒を積んで帰る。毎週末のイベントみたいな感じでした。まとめて買うとより安くなるケース売り売価も設定していました」
お米とお酒・飲料は、お客様が定期的にカインズへ足を運ぶきっかけでもありました。食品は早くから、お客様のくらしとカインズをつなぐ接点になっていたのです。
忙しい毎日に、選びやすさと新しい価値を
2007年のSPA宣言以降、カインズの食品開発は新たな段階に入ります。当時のくらしの傾向として、共働き世帯の増加などを背景に、家事や食事づくりの負担を減らしたいというニーズが高まっていったと考えられます。こうした変化を受け、カインズでも価格だけでなく、栄養や利便性、より良い品質といった価値を商品に取り入れる取り組みが進んでいきました。
これまでも「伊達の蔵出し」のように、産地や品質にこだわった商品を展開してきたカインズ。この頃からは価格だけでなく、お客様に選ばれる価値を商品に込めることをより意識していきます。味や容量のバリエーションを広げる。機能性を持たせる。忙しい毎日の中でも、迷わず選べて手軽に取り入れられる商品づくりが進んでいきます。
この頃の代表例の一つが2010年頃に販売した「安曇野の天然水」です。当時の商品開発担当だった田邊さんは、天然水の商品開発について語ります。
「自然豊かな長野県安曇野は『北アルプスの麓のまち』と呼ばれ、水がキレイなイメージがあります。ヒットしていたナショナルブランドの天然水に対抗して開発しました。もちろん、価格設定にもこだわり、『安曇野の天然水』は大ヒット商品となりました。その後は機能性を付与した水としてバナジウム天然水へと展開します。これは現在でも販売しているロングセラー商品です」

よりカインズとしての付加価値をつけた商品に、「オルニチンが摂れるわかめスープ」があります。機能性を付与した食品シリーズとして開発したスープの一つで、お湯をそそぐだけで簡単にできます。わかめを多くし、具だくさん感と満足感を高めました。お客様の「手軽に、おいしく、満足したい」というニーズに応える商品でした。

オリジナル商品の開発が進む一方で、店舗での品ぞろえには悩みもありました。
「飲料はナショナルブランドの支持が圧倒的です。オリジナル商品の比率を高めたいですが、ナショナルブランドも品ぞろえとして必要です。あるとき、スポーツドリンクでNo.1シェア商品をラインアップから外したことがありました。そのときは、お客様からお叱りをいただきましたね」
と田邊さんは苦笑いします。
「フレーバー付きや機能性を付与した食品など、時代に合わせてバリエーションを増やしていきました。ラベルレスのペットボトル飲料など、利便性を考えた商品も開発しました。どんなときでも、おいしくて満足できることが前提です」
と田邊さんは振り返ります。
食品も、くらしを楽しむ提案へ
食品は、単に棚に並べるだけではありません。「くらしDIY」をブランドコンセプトに掲げるカインズにとって、食品もまた、くらしのシーン全体で提案できる領域です。たとえば、カインズが運営するコミュニティ「CAINZ DIY Square」では、グラス、ハーブの種、アレンジドリンクを使って、「Drink It Yourself(DIY)」という提案をユーザーが投稿するなど、くらしの楽しみ方そのものを提案しています
カインズでは、日用品やインテリア用品、園芸用品などの買い物と一緒に食品類を買い合わせることができます。また、ペットと一緒に買い物を楽しめる店舗もあります。くらしを創る、くらしを整える場所として、カインズの食品売場は存在しているのです。
タイパ、防災、健康。今のくらしに応える食品へ
カインズの食品売場は、これまで店舗の中に点在していました。上田さんが食品開発部門に加わった頃、食品を1か所に集める取り組みが始まります。
「お客様が食品売場の場所をイメージしづらかったんです。そのため、売場をまとめて、カインズの食品類が分かるように、そして買いやすいようにしました」

コロナ禍を経て、食事や買い物のスタイルはさらに多様化しました。家族で同じものを食べるだけでなく、在宅勤務や出社勤務、子どもの予定など、それぞれの生活リズムに合わせて選ぶ時代へ。タイパや健康志向に加え、防災やアウトドアなど、日常と非常時の両方に役立つ価値も求められるようになっています。
現在、担当している上田さんは、食品を通じたくらしの課題解決について考えます。
「『タイパ』『コスパ』といった、時短ができて手軽でおいしいものが求められています。また、自然災害が多発するなか、一般家庭でふだん使っているモノを災害時にも役立てるという『フェーズフリー』の視点も加えました。常温で長期保存ができる『京都のだし屋がつくったおうちカレー』や『ライトツナ油漬フレーク』などです。ふだんの食事ではもちろん、キャンプなどのアウトドアにもおすすめです」
「ライフスタイルが多様化するなか、カインズのオリジナル商品に求められる役割が広がっていると感じます。それでもやはり大事にしたいのが品質です。安いだけでなく、おいしくなければいけません。品質第一です」
と、上田さんは矜持を打ち明けます。
現在、食品・飲料のオリジナル商品は約450品目。2000年頃と比べると、売場は格段に広がり、提案の幅も広がりました。現在では、お茶類に合わせたお茶菓子の展開もその一つです。2025年に販売した「五穀ビスケット」は、お茶と一緒に楽しめる商品として大ヒットしました。
大ヒットといえば、「ちょこっとチップ」にも注目です。上田さんが「これはぜひ扱いたい」と思った商品でした。その味にほれ込み、「製造会社の社長に直接電話して交渉しました」と、上田さんは笑います。さっそくカインズのラインアップに追加。一時期、店頭から姿を消すほどの人気ぶりに。

店内を回って買い物をしている途中で、予定外のところで出合う商品には、得した気分になります。
「『あ、おいしそう』『食べたい』と、手に取ってもらえるようラインアップを考えています」
と、上田さん。買い物の楽しさも商品開発で大切にしている視点です。

お客様のくらしは、家族でまとめ買いをする時代から、忙しい毎日を効率よく回す時代へ、そして一人ひとりが自分らしいくらしを選ぶ時代へと変化してきました。カインズの食品開発もまた、その変化に寄り添いながら進化を続けています。
工具や園芸用品を探しながら、お菓子を手に取る。
ペットと一緒に買い物をしながら、お茶やお米を選ぶ。
そんな何気ない買い物の風景の中に、カインズが長年考え続けてきた“くらしとの接点”があります。扱う商品は変わっても、お客様のくらしを見つめる姿勢は変わりません。食品もまた、くらしを支える提案の一つとして、これからもおいしさと品質にこだわりながら、お客様のくらしに寄り添い続けます。
●商品
カインズのオリジナル商品 米・加工品
富士山ナチュラルミネラルウォーター 天然水バナジウム
オルニチンが摂れるわかめスープ
ちょこっとチップ
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