地元農家と連携 小学校のサツマイモの栽培・収穫・販売体験に取り組んだカインズ 朝霞店
- 2025.02.28
- くみまち・サステナビリティ出店・店舗

年末の、慌ただしくも活気あふれる店内に響く、子どもたちの呼び込みの声。
「いらっしゃいませ。第九小でそだてたサツマイモです!100円でうっています!」。
ホームセンターでは珍しい光景。実は、カインズ 朝霞店のそばにある朝霞市立朝霞第九小学校2年生の子どもたちが、生活科で育てたサツマイモを販売しているのです。
このサツマイモは、朝霞店のメンバー(従業員)をはじめ、農家さん、JAあさか野さんがお手伝いし、2024年春から第九小の学校ファームで育てたもの。今回は、この取り組みについてご紹介します。
歩道橋がつないだ第九小の子どもたちとカインズとの交流
サツマイモづくりをお手伝いすることになったのは、2023年に第九小と朝霞店が一緒に取り組んだ公共花壇づくりにさかのぼります。
当時、朝霞店の店長だった太田穣史さんが振り返ります。
「店舗から歩道橋を渡った第九小側にあった畑を、朝霞店開店後にメンバー用の駐車場にすることになりました。駐車場工事の間、様子を見に行ったり道具を持って行ったり、歩道橋を渡ることが多かったんですよね。私が出勤するタイミングと子どもたちの朝の通学の時間帯もかぶっていて毎日すれ違うので、『おはよう』って挨拶していました。最初は『変なおじさんだな』と思われていたのではないでしょうか(笑)。
1カ月くらいした頃、子どもたちが『おはようございます』と挨拶してくれたんですよね。それで、改めてカインズとして、子どもたちと何かできないかなと思い、第九小の小林美加校長先生に相談して、歩道橋脇の雑草だらけになっている花壇を整備して花を植えることになったんです※1」。



その後も季節に合わせて何回か花の植え替えを行うなど、第九小と朝霞店との交流が深まります。そんな中、小林校長先生が朝霞店に学校ファームでのサツマイモづくりの相談をしてくださいました。
2年生の生活科の授業として先生たちが試行錯誤しながら取り組んでいましたが、育てたサツマイモは形がいびつだったり小さかったり、収穫量も少なかったり……。そんな状況を案じた小林校長先生が、太田さんに相談を持ち掛けます。
「サツマイモづくりには農家の方のご指導が欲しかったのです。すると、太田店長(当時)さんがくみまちマルシェ※2を通して農家さんに相談してくださったのです」。
こうして始まった朝霞第九小学校 学校ファーム収穫・販売体験プロジェクト、名付けて「ナインズファーム サツマイモプロジェクト」。2年生の子どもたち約70名に栽培から販売までの体験を通して農業、商業への学習理解を深めてもらい、子どもたちの健全な育成につなげます。4月の畑づくりから12月の販売会まで8カ月という長い期間のプロジェクトです。
おいしいサツマイモを作ろう!チーム結成
プロジェクトメンバーは、第九小の先生方3名(校長先生と2年生担任の先生2名)と、くみまちマルシェで連携している地元農家さんとJAあさか野さんチーム4名、そしてカインズチーム8名です。
畑づくりや栽培、収穫などの農業部分は、農家さんチームに担当いただきました。カインズは店舗のメンバーが資材の準備、草刈りや収穫のお手伝い、そして収穫したサツマイモの販売会を担当し、本部のメンバーが市や学校の窓口になり、プロジェクトの全体統括を担いました。
どのくらい育つかな?サツマイモ栽培スタート!
〇農家さんたちによる畑づくり
4月~5月にかけて、農家さんチーム、カインズチームとで学校ファームの畑を耕しました。約150平方メートルほどの広さの学校ファーム。
「自分たちだけでは2畝しか作れなかったのですが、農家さんやカインズさんに手伝っていただいたら、畑いっぱいに畝を作ることができました」と小林校長先生。
農家さんが耕うん機で、一気に畑を耕していきます。


きれいな畝ができた学校ファーム、土はふかふか。1カ月ほど前までは雑草が生い茂り、土は固くごつごつしていたのがウソのよう。
5月のサツマイモの苗植えでは、地元農家さんに指導いただき、JAあさか野さんからはサツマイモの植え方や育て方を教えていただきました。


子どもたちは絵日記で、苗植えの様子をつづります。

〇汗をかきながらの草刈り
ぐんぐんと伸びていく苗。同じように雑草もぐんぐんと伸び、どんどん増えていきます。そのため、子どもたちとカインズとで定期的に除草をしました。うだるような暑さの中での除草はなかなか大変です。汗だくになりながら、雑草を取り除いていきました。


〇タブレットを使って観察学習
2年生の担任の山口真実先生が、観察学習の様子を教えてくださいました。
「タブレットを使って撮影し、どのように成長していくのかを観察しました。他の野菜や植物とどのように成長が違うのかなども比較しました」。
〇どのくらい収穫できるかな?
10月22日(火)、待ちに待った収穫です。朝から子どもたちはそわそわしています。農家さんが成長の様子を見るため試し掘りをし、収穫OKが出ているとはいえ、いったい、どんなサツマイモが出てくるのでしょうか。こればかりは掘ってみないと分かりません。
子どもたちは軍手をはめて、わくわくしながら学校ファームへ向かいます。




この日、収穫できたサツマイモは段ボール6箱分。子どもたちが自分で育てた成果として自宅に持ち帰る分を除いたものを、12月の販売会で販売します。

〇朝霞市農業祭でのパネル展示
本プロジェクトは、市や教育委員会からも協力をいただいています。苗植えや収穫のタイミングには、市や教育委員会の方々も学校ファームに来てくださいました。カインズからプロジェクトの進捗を市や教育委員会に共有するなかで、産業振興課からは農業祭でのパネル展示を提案していただきました。
初冬の12月1日(日)に朝霞市農業祭でプロジェクトの内容を伝えるパネル展示を実施。収穫したサツマイモも展示し、第九小とカインズ、地域の取り組みを紹介しました。


いよいよ迎えたサツマイモ販売会
〇準備
第九小のサツマイモ販売会は、朝霞店で12月21日(土)に開催するくみまちマルシェにあわせて行うことになりました。
「農業も商業の一つ。カインズが関わることで、販売という機会を作ることができます。収穫体験だけでなく職業体験もできることが、カインズの価値であり意義でもあります」と太田さんは話します。
この販売会をどう組み立てるか、カインズのメンバーがミーティングを重ね検討します。
「子どもたちに販売という仕事を実感してもらいたい。そのために、袋づめや値札シールの貼りつけなどの作業を加えたらどうかと考えました」
「売上を来年のプロジェクトのために使うことを想定し、レジは通常営業のものとは別にしました。そして、金銭のやり取りも体験できるように、支払いは現金としました」
など、販売会を通じて子どもたちに体験してもらいたいことを組み立てていきました。


手作りのサツマイモを販売する雰囲気を演出できるよう、売場には木製のワゴンを使いました。「同じ並びにあるくみまちマルシェの雰囲気にも合わせて、麻の布をワイヤーのかごに敷いてみました」と、店舗メンバーも子どもたちの販売に向けて力が入りました。
〇販売会当日
販売会は2回に分けて実施。1回目には14名、2回目には13名の子どもたちが参加しました。
販売会で取り扱う商品は、サツマイモとサツマイモのつるで作ったリースです。子どもたちは授業でリースを作りましたが、今回販売するのは小林校長先生が作成したもの。サツマイモを袋づめして、サツマイモとリースのPOPを描きます。
袋の口をシールでとめたり機械を使って値札シールを貼ったりと、商品を販売する準備作業は子どもたちにとって初めてのことばかり。袋の口をしめるシールはちょっと力が必要なこともあり「怖かった。でも楽しかった」という声も。







売り場にサツマイモを並べたら、さあ、販売会の始まりです。「いらっしゃいませ。第九小でそだてたサツマイモです。100円でうっています……」と最初は遠慮がちに呼び込みをしていた子どもたちですが、だんだんと声が大きくなり、POPを掲げる手も高くなります。


恐る恐るお金を受け取とったり、満面の笑みで「ありがとうございました」と伝えたり。店内放送で呼び込みを経験した子どもは、「緊張したけど楽しかった」とちょっぴり照れ臭そうに感想を聞かせてくれました。


子どもたちによる元気な呼び込み。実は当初の予定にはないものでした。日頃、くみまちマルシェやくみまち学校を担当している経験から、子どもたちの体験をどう作っていくか、カインズらしさは何かを考え、朝霞店のメンバーが販売会の様子を見てとっさに取り入れてみたのです。
販売会に参加した子どもたちの保護者からは「サツマイモを植えるところから収穫して販売するまでは、なかなかできない経験でした」「販売会で子どもの笑顔がたくさん見られて、親としてもうれしいです」などの感想をいただきました。
畑づくりから収穫まで関わってくださった農家の髙麗俊一さんは「朝霞は元からいる住民と新しく来た住民とが混じっているまち。農家のイメージがないので、地域の方に農業を知ってもらいたいと思っていた。学校農園があって、カインズが間に入って販売までやったので良い取り組みになった」と、本プロジェクトの意義と取り組みを振り返ります。
小林校長先生からは「子どもたちにとっては、広いところでサツマイモの成長がみられて、いいサツマイモを収穫することができてよかったです。やっぱり専門家が入ってくれたことは大きいですね。
私が校長になったとき(2022年までは第十小で教頭だった)、開かれた学校づくり、地域との密着というところを学校としてやっていきたいと考えていました。ただ、企業と取り組みをしたいと思っても、連携するにはなかなか環境や機会がないのが実情です。これからはカインズさんのように、いろいろな企業と連携していきたいですね。
このプロジェクトで、子どもたちは今まで関わったことがない方と関わることができました。普段、子どもたちは誰かに感謝するという機会があまりありません。カインズやJAの方、農家の方が来て指導してくださり、周りとの関わりがすごく勉強になったと思います」と、本プロジェクトの成果と子どもたちへの影響をお話しいただきました。
2年生を担任している山口先生からは「外部の方と一緒に取り組み、大きなサツマイモができたり獲れたりしたので、子どもたちの達成感が大きかったと思います。カインズが学校の近くにあることで、畑の手入れを気軽に相談できたり材料をすぐに買うことができたりして助かります」とお話しいただきました。
地域の頼れる存在「カインズ」
販売体験までできるのはカインズだからこそ。朝霞店のメンバーは「長い目で見たときに、くみまち構想※3や地域との取り組みによってカインズの認知が広がり、地域に根差すことにつながることは大事だと思う」と話します。
公共花壇づくりから第九小学校との交流をスタートさせた太田さんは、カインズが地域にとってなくてはならない存在になるために必要だと思うことをこのように話します。「学校をはじめとする地域の皆さんと連携したり、行事に参加したり、地域の一員として活動することが大切です。そうした取り組みも積極的に行うことで、カインズで働く地域の方々に、カインズで働くことを誇りに思ってもらいたいと思っています」。
朝霞店の地域に根差した取り組みは、他の地域へと広がりを見せています。能登地震で被災した石川県珠洲市で行われている「寄せ植えプロジェクト」は、朝霞店で行った公共花壇づくりがヒントとなり、実現したのです※4。
「第九小学校と朝霞市との取り組みによって育まれた『小さな花』が『大きな励み』になったことがとてもうれしく、感動しました。こうした取り組みからたくさんのコミュニケーションが生まれ、参加した地域の方々の感性が豊かになる、そんなお手伝いができればと感じています」(太田さん)
カインズがある地域で生まれた取り組みが地域の絆を育み、その地域の枠をこえ、他の地域の方々をつないでいく。カインズはこれからも、地域の皆様と協働/共創しあえるハブとして、地域のつながりを生み、「まち」やくらしを組み上げていきます。
※1 あいさつから始まった小学生と朝霞店との花壇づくり
https://www.cainz.co.jp/contents/6786/
※2 くみまちマルシェは、新鮮な地元野菜を販売する野菜直売です。朝霞店や伊勢崎店などカインズ店舗で開催しています。
https://kumimachi.com/
※3 創業以来、「商業を通して社会の発展に貢献する」ことを志に、それぞれの店舗が、それぞれの地域の皆様のくらしに寄り添いながら事業活動を行っている、カインズならではの構想です。店舗やそこで働くメンバー(従業員)がハブとなり、それぞれの地域における困りごとや関心、ニーズに丁寧に耳を傾け、くらしに携わる様々なステークホルダーと協働/共創することで、人々が自立し、共に楽しみ、助け合える、“一人ひとりが主役になれる「まち」(≒地域社会)”の実現を目指します。
https://www.cainz.co.jp/about/kumimachi/
※4 被災地・珠洲市支援 小中学校の子どもたちと校庭の仮設住宅にくらす地域の方々をつなぐ「寄せ植えプロジェクト」
https://www.cainz.co.jp/contents/11416/
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